Amazon FBAを利用しているセラーなら、一度は不安に思ったことがあるのではないでしょうか。
「購入者に返品された商品が、販売できない状態になって戻ってきたらどうなるのか?」
今回、実際に私がFBAで販売したマザーボードが返品され、その後手元に返送されてきました。
ところが商品を確認すると、大量の動物の毛が付着し、一部のパーツには動物が噛んだように見える物理的な破損まで確認されました。
当然、再販売できる状態ではありません。
しかし購入者には、FBAの返品処理によってすでに全額返金されていました。
そのままでは、
- 購入者には全額返金
- Amazonは返品処理を完了
- 出品者には壊れた商品だけが戻ってくる
という状態になります。
Amazonテクニカルサポートへ補てんを申請したところ、最初は「購入者による破損については補てん対象外」という回答でした。
しかし、証拠写真を提出したうえで再調査を依頼した結果、最終的にはAmazonから補てんが認められました。
同じようなFBA返品トラブルで困っているセラーは少なくないと思います。
今回は、実際にどのような状態の商品が返送され、Amazonへどう説明し、どのような流れで補てんまで進んだのかを記録として残しておきます。
Amazon FBA返品で破損したマザーボードが戻ってきた
今回返品されたのは、AMD Ryzen向けのゲーミングマザーボードです。
購入者による返品後、FBA在庫から返送依頼を行い、手元に戻ってきた現物を確認しました。
まず目についたのが、大量に付着した動物の毛です。
少量のホコリや使用に伴う汚れといったレベルではありません。
商品や内部のパーツ周辺に、猫などのペットのものと思われる毛が多数付着していました。
さらに細かく確認すると、一部の部品には動物が噛んだように見える傷や破損までありました。
もちろん、実際に猫が噛んだのかどうかをこちらで断定することはできません。
しかし、少なくとも出荷時には存在しなかった大量の異物付着と物理的損傷が、返品後の商品に発生していることは明らかでした。
マザーボードは精密電子機器です。
異物の大量付着や部品の物理的な損傷がある以上、「中古品として値下げして販売する」という選択肢も取れません。
安全面も考えると、商品としての価値はほぼ失われている状態でした。
FBAでは購入者への返金をAmazon側が処理する
自己発送の商品であれば、返品された現物を確認したうえで返金処理を判断できるケースがあります。
一方、FBAでは購入者対応や返品・返金処理をAmazon側が行います。
今回も、私が返送品の状態を確認した時点では、購入者への全額返金はすでに完了していました。
つまり出品者側から見ると、
商品代金は購入者へ返金され、手元には再販売できない状態の商品が戻ってきた。
ということになります。
数万円する商品ですから、そのまま出品者負担となれば当然大きな損失です。
そこでAmazonテクニカルサポートへ、FBA購入者返品に関する補てんの相談を行いました。
まず行ったのは返送商品の証拠保存
Amazonへ問い合わせる前に行ったのが、現物の状態をできるだけ詳しく記録することです。
今回私は、角度を変えながら十数枚の写真を撮影しました。
同じようなケースが発生した場合、最低でも以下は保存しておくことをおすすめします。
- 返送された外箱
- 梱包状態
- FBA・LPNなどの管理ラベル
- 商品全体
- シリアル番号
- 異物や汚れの付着部分
- 破損部分のアップ
- 付属品の有無
- 部品の欠損がある場合はその箇所
返品トラブルでは、
「壊れていました」
だけでは第三者に状況が伝わりません。
Amazon側の担当者が現物を見ることはできないので、写真だけを見ても商品の状態が理解できるようにしておくことが重要です。
Amazonテクニカルサポートへ補てんを申請
証拠を保存したうえで、Amazonテクニカルサポートへ問い合わせました。
伝えた内容は主に以下です。
- FBAで販売した商品の購入者返品であること
- 返品後の商品に大量の動物の毛と思われる異物が付着していること
- 部品に動物が噛んだように見える物理的損傷があること
- 出荷時のコンディションとは明らかに異なること
- 精密電子機器として再販売・再使用できないこと
- 購入者にはすでに全額返金されていること
そして撮影した写真をすべて提出しました。
最初の回答は「購入者による破損は補てんできない」
ところが、Amazonから最初に案内された内容は厳しいものでした。
FBA購入者返品ポリシーを根拠として、
購入者による破損についてAmazonは責任を負わず、補てんも行わない。
という趣旨の回答でした。
Amazonのポリシー上、購入者による破損等が補てん対象外と判断されるケースがあること自体は理解できます。
しかし今回については疑問が残ります。
購入者には全額返金。
出品者には商品価値を失った商品が返送。
その損害をすべて出品者が負担することになります。
しかも今回は、通常の商品確認や開封によって発生するような軽微なコンディション変化ではありません。
大量の動物の毛の付着と、明確な物理的破損があります。
そこで、最初の回答だけでケースを終了させるのではなく、再調査を依頼することにしました。
「購入者が壊した」と断定せず、確認できる事実を伝える
ここは今回かなり重要だったポイントだと思います。
こちらから、
「購入者が猫に噛ませた」
「購入者が意図的に商品を壊した」
と断定することはできません。
その現場を見ているわけではないからです。
そこで、あくまでこちらで確認できる事実に絞りました。
- 出荷時にはこの状態ではなかった
- 返送された商品には大量の動物の毛と思われるものが付着している
- 部品には明確な物理的損傷がある
- 現在の状態では商品として再販売できない
- 購入者には全額返金されている
そのうえで、
今回の状態を通常の返品処理として扱うことが適切なのかも含め、提出した写真を確認したうえで補てん可否を再調査してほしい。
と依頼しました。
Amazonへ再調査を依頼した結果
テクニカルサポートの担当者からは、
本ケースを預かり、再度補てん可否について確認します。
という回答がありました。
その場で結論を出すのではなく、ケースを持ち帰って再調査してもらう流れになりました。
そして後日、Amazonテクニカルサポートからメールが届きました。
その内容は、
「再度調査を行った結果、当該商品について補てんを行う」
というものでした。
最初は「補てん対象外」と案内されたものが、証拠を提示し再調査を依頼した結果、補てん対象として認められたことになります。
今回のポイント
「購入者による破損なら必ず補てんされる」という意味ではありません。
今回の個別ケースでは、現物の状態を写真で提示して再調査を依頼した結果、Amazon側の判断が変わり、補てんが認められたという実例です。
FBA返品で破損品が戻ってきたときの対応手順
今回の経験を踏まえると、同様のトラブルが発生した場合は以下の順番で対応するのがよいと思います。
1.返送された商品を処分しない
補てん可否が確定するまで、商品を処分しない方が安全です。
可能であれば外箱、梱包材、付属品なども保存しておきます。
2.開封後すぐに写真を撮る
商品の状態をできるだけ多く記録します。
特にシリアル番号やLPNラベルなど、その返品商品であることを確認できる情報も一緒に残しておきます。
3.破損・汚損をアップで撮影する
商品全体だけではなく、問題部分が第三者にも分かるようにアップで撮影します。
4.返品レポートを確認する
返品理由、返品日、LPN番号など、Amazon側に記録されている返品情報を確認します。
5.Amazonテクニカルサポートへ問い合わせる
感情的な表現ではなく、確認できる事実を時系列で整理して伝えます。
6.必要なら再調査を依頼する
最初の回答が補てん対象外だったとしても、提出した証拠や実際の商品状態から見て疑問が残る場合は、再確認を依頼する余地があります。
今回のケースでは、この再調査によって結果が変わりました。
Amazonテクニカルサポートへ送る文面例
同じようなケースで使えるように、問い合わせ文面のひな形も掲載しておきます。
テクニカルサポート ご担当者様
お世話になっております。
FBA注文について、購入者から返品され、その後当社へ返送された商品を確認したところ、出荷時には存在しなかった重大な汚損および物理的破損が確認されました。
添付画像のとおり、商品には大量の動物の毛と思われる異物が付着しており、さらに部品には動物が噛んだように見える明確な損傷があります。
本商品は精密電子機器であり、現在の状態では安全面を含め再販売・再使用することができません。
購入者にはすでに全額返金が行われている一方、出品者には商品価値を失った状態の商品が返送されております。
購入者による破損が補てん対象外となる場合があることは承知しておりますが、本件について提出済みの写真および返品・返送履歴をご確認いただき、通常の返品処理として適切であったかも含め、補てん可否を再調査いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
ポイントは、購入者を一方的に犯人扱いすることではありません。
「こちらで確認できる事実」と「Amazonに再確認してほしい事項」を分けて伝えることです。
悪質な返品やすり替えは、購入者側にとっても割に合わない
今回の件とは別に、購入者側にも伝えておきたいことがあります。
Amazonの返品制度は、購入者が安心してネット通販を利用するために必要な仕組みです。
初期不良だった。
注文した商品と違うものが届いた。
商品説明と実物に大きな違いがあった。
そうした正当な理由で返品制度を利用することには、もちろん何の問題もありません。
一方で、
- 十分に使用した商品を新品同様として返品する
- 自ら破損させた商品を返品する
- 付属品や部品を抜き取って返品する
- 別の商品へすり替えて返品する
- 虚偽の申告によって返金を受けようとする
といった行為が意図的に行われるのであれば、通常の返品とはまったく別の話です。
Amazonは、日本国内でも極めて大きなECプラットフォームの一つです。
日用品、食品、家電、書籍、仕事道具まで、多くの商品を購入できます。
そんな便利なサービスを日常的に利用できる環境を、わずかな金銭的利益のために不正利用することに、果たして合理性があるでしょうか。
不正利用や規約違反と判断されれば、Amazon側から何らかの利用上の措置を受ける可能性もあります。
今後もAmazonを普通に利用できる利便性と、一度の悪質な返品によって得られる金銭的利益。
冷静に比較すれば、リスクとリターンはまったく釣り合わないと思います。
そして、もう一つ忘れてはいけないことがあります。
返品された商品の損失は、どこかへ消えてなくなるわけではありません。
その商品を仕入れ、在庫を持ち、販売している事業者が存在します。
意図的に商品を破損させたり、すり替えたりしたうえで返金だけを受ける行為は、その損失を誰かへ一方的に押し付けることになります。
論理的に考えても、道義的に考えても、決して合理的な行為ではありません。
返品制度は、
「何をしても返金される制度」ではなく、「安心して買い物をするための制度」
です。
購入者を守る制度だからこそ、購入者側にも適切に利用する責任があると私は考えています。
販売者として、正当な返品には当然きちんと対応します。
一方で、通常の返品では説明できない破損、汚損、部品抜き取り、すり替えなどが確認された場合には、こちらも証拠を保存し、Amazonへ報告します。
「返品して返金されたら、それで終わり」ではありません。
販売者側も返送された商品を確認しています。
おかしな状態で戻ってきた商品については、今回のようにAmazonへ再調査を求めることもできます。
Amazonを購入者・販売者双方が安心して利用し続けるためにも、返品制度は正しく使われるべきだと思います。
「補てん不可」と言われても、最初の回答だけで諦めない
今回の経験で一番感じたのは、
最初の回答が必ずしも最終的な判断とは限らない
ということです。
もちろん、Amazonのポリシー上、本当に補てん対象外となるケースもあります。
何でも再申請すれば補てんされるという話ではありません。
ただし、今回のように現物の状態と一次回答との間に疑問があるのであれば、
- 商品を保存する
- 写真を撮る
- 返品履歴を確認する
- 確認できる事実を整理する
- Amazonへ提出する
- 必要であれば再調査をお願いする
という対応をする価値はあります。
高額商品を扱っているセラーであれば、1件の返品だけでも利益への影響は決して小さくありません。
面倒だからと諦めてしまうのではなく、まずは証拠を残して正規の手順でAmazonへ相談することをおすすめします。
今回のFBA返品トラブルの流れ
最後に今回の流れを整理します。
FBAでマザーボードを販売
↓
購入者が返品
↓
購入者へ全額返金
↓
商品を出品者へ返送
↓
大量の動物の毛と物理的破損を確認
↓
十数枚の証拠写真を撮影
↓
Amazonへ補てん申請
↓
初回回答は「購入者による破損は補てん対象外」
↓
提出した写真をもとに再調査を依頼
↓
Amazonが再調査
↓
補てん決定
Amazon FBAは非常に便利なサービスですが、返品処理をAmazonへ任せる以上、このようなトラブルが発生する可能性はゼロではありません。
もしFBAから明らかにおかしな状態の商品が戻ってきたら、最初から諦めず、まず現物と証拠を残してください。
そのうえでAmazonテクニカルサポートへ事実を伝え、必要であれば再調査を依頼する。
少なくとも今回のケースでは、一度は補てん対象外と回答されたものの、再調査によって補てんが認められました。
同じようなFBA返品トラブルで困っているAmazonセラーの参考になれば幸いです。
※注意
本記事は、実際に私が経験した個別事例を紹介するものです。すべての返品・破損案件で補てんが認められることを保証するものではありません。Amazonの返品・補てんポリシー、申請条件、申請可能期間等は変更される場合があります。実際に申請する際は、Seller Centralに掲載されている最新の公式情報をご確認ください。

